設立の経緯

かつて琉球の王都であった浦添は、13~14世紀頃に日本をはじめ中国・朝鮮・南方諸国との交易によって繁栄し豊かな文化を作り上げていました。
このような歴史的背景を、現代の都市(まち)づくりに生かす取り組みの一つとして、市は1983(昭和58)年に「琉球漆器の美展」を開催しました。
本展は、本土へ渡った琉球漆器の名品約180点を沖縄ではじめて紹介し、内外に大きな反響をよびました。
これを機に美術館建設の要望が高まり、1990(平成2)年2月に日本初の漆芸専門美術館・沖縄初の公立美術館として浦添市美術館が誕生しました。
以後、優れた美術作品の鑑賞の場として注目を集めているほか、収蔵品をはじめとする漆芸品の調査研究を行っています。

活動指針

漆器の美を紹介 - 常設展示 -

当美術館は、16世紀から現代までの優れた琉球漆器のコレクションを中心に、広く周辺諸国の漆芸品を収集しています。
常設展示室では、琉球漆芸の歴史と様々なテーマで年3回の企画展示を行っています。

様々なアートを身近に - 企画展示 -

当美術館所蔵の「琉球八景」展や「戦がやってきた」展を始め、様々な企画展を開催しています。
講堂では展示会に関連した講演会・講座・イベントなどを行います。

創作と発表の広場 - 作品発表と教育・普及活動 -

当美術館の企画する展示会以外にも、一般のグループ展や個展など発表の場としても利用できます。
また、実習室では漆工芸や陶芸などの実習教室や、1日の体験教室を行っています。

琉球・アジアの漆芸品の研究 - 調査・研究活動 -

琉球王朝文化が誇る琉球漆器を中心に広く漆芸品について調査・研究し、その成果を紹介します。

建物について

美術館外観

国道330号線から見える、ドームのような塔のような、不思議な建物に興味を惹かれたことはあるでしょうか。
植物の合間からのぞくこの建物は、アジアの空気を感じさせたり、またはヨーロッパの古都のたたずまい、あるいはイスラム文化の香りを思い起こさせるかもしれません。
この多国籍風の建物の正体が、浦添市美術館です。
浦添市美術館を設計したのは、高円宮邸や世田谷美術館を生み出した建築家、故・内井昭蔵です。
内井は浦添市美術館の設計について、「塔と回廊による構造」をテーマにし、次のように解説しています。
「建築は垂直方向に展開される塔性と、水平方向に展開される回廊性によって構成される。
塔性とは足で地をつかんでいる人間、一つの世界を表現し、回廊性とは人と人、世界をつなぐ存在を表現する。
人や世界は一つではなく、多くの人や世界とつながって共存し、より大きな存在となる。」
(参考:「塔と回廊による構造」『新建築 』 p249. 1990 新建築社)

主な施設

常設展示室

常設展示室は5室からなり、琉球漆器の歴史について展示しているほか、漆芸品を紹介するため様々なテーマの展示を行っています。

企画展示室

企画展示室は大小3室からなり、絵画展や書道展といった平面作品から、彫刻やインスタレーションといった立体作品や空間的な展示会にも対応できます。
過去にはナポレオン展や古代エジプト展などの様々な大型企画展も開催しています。

図書室

2階にある図書室には、各種美術雑誌や日本の美術、世界の美術、美術全集など様々な書籍を置いています。
また琉球漆器専門の美術館ということもあり、沖縄の漆器や染織、織物などの工芸や文化に関係する書籍も取り揃えています。
子どもコーナーには日本内外の美術に触れる絵本や、魅力的な本を備えています。
図書の貸出しはできませんが、無料で利用できます。

実習室

漆芸や陶芸などの実習教室や体験教室を行う部屋です。
実習室には、漆芸室や陶芸用の窯もあり、充実した実習教室を受けることができます。
また、サークル活動を行う団体に貸出しも行っています。お気軽に見学いただけます。

サークル活動のご紹介

施設概要

敷地面積7,066平方メートル
延床面積3,360.89平方メートル
導入部門268.41平方メートル
展示部門878.84平方メートル
常設展示室476.47平方メートル
企画展示室384.09平方メートル
教育研究部門375.20平方メートル
収蔵部門154.27平方メートル
調査研究部門154.27平方メートル
事務管理部門186.68平方メートル
電気機械部門337.92平方メートル
共有部門679.08平方メートル
構造鉄筋コンクリート造/地上2階・地下1階
竣工平成元年7月31日
開館平成2年2月1日
設計・監理(株)内井昭蔵建築設計事務所 (有)かみもり設計業務委託共同企業体

IPMについて

当館は収蔵資料の適切な保存・管理と健康で快適な環境を確保するため、IPM(総合的病害虫管理)を導入しています。

*IPMとはカビや虫の発生する環境を作らない、外部からの害虫の侵入を防ぐ、発生してしまった場合はなるべく科学的手法を使わないよう対処していく方法のことです。